仮説思考を行うために(実験まとめテンプレートを先に埋める)
仮説思考というものをご存じでしょうか。ビジネス書などでは、たびたび出てくる言葉ですが、要は、「検証する前にあらかじめ検証結果を予想しておくこと」だと理解しています。私のような研究開発者にとっての検証は、実験に他なりません。そこで、仮説思考を徹底させるために、「実験まとめテンプレート」を作って活用しています。こちらをみなさんに紹介したいと思います。
実験まとめテンプレートとは以下のような文章がエクセルのセルに記入されているものです。
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■実験の題名
日付 実験者の名前
1、背景(なぜこの検討を行うことにしたのか分かるように記述する)
2、目的(1、2行程度で記述する。目的を文章化することに徹底的にこだわる)
3、実験内容
4、結果・考察
5、結論(目的の問いにきちんと答えられていることを確認)
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この実験まとめテンプレートのエクセルを、実験を行う前に実験内容まで書きます。これにより、実験の段取りを組むことができ、注意する点などを洗い出すことができます。さらに大事なことは、結果・結論に関しても、ある程度作ってしまうということです。どのような写真をとって、どのようなX軸とY軸を持つグラフを作成することがデータをわかりやすく示すことができるかをあらかじめ考えておくことが大切です。
つまり、実験レポートを実験の前に作ってしまおうということです。この方法は、考える時間と作業する時間を切り離すというライフハックにも通じるものだと思います。
実験まとめテンプレートの利点は?
ー目的と、必要なデータを明確にしているので、必要最小限の実験のみで検証を済ますことができる。必要なデータの取り忘れなども、避けることができる。
ー先にテンプレートを埋めることにより、いつも同じ流れでデータをまとめることができる。
ーテンプレートの中に、その項目の注意点も書いているので、毎回それを満たしているかを確認しながら作ることができる。(「目的を書く際の注意点:目的を文章化することに徹底的にこだわる」など)
ーまとめた内容をそのまま打ち合わせで報告することができる。
なぜ実験まとめテンプレートはエクセルなのか?
ーすべてのデータを1つのシートで見れることにより、視認性が向上する。
(パワーポイントだと分量が多いとスライドが分かれてしまう。ワードもページが分かれてしまう。)
ーデータ整理などを他のシートでやることができ、一元管理ができる。
ー図を張りつけるなども簡単にできる。
この記事を書いているときに知ったのですが、ABO式の血液型を発見したノーベル賞受賞者のランドシュタイナー博士は、実験を行う前に論文を書いていたようです。まさに仮説思考ですね。
「実験まとめテンプレートは」大変有用なので、アレンジしながらみなさんの仕事に活用していただければ幸いです。
以下に、「実験まとめテンプレート」を作成するにあたって、参考にした2冊の本を紹介します。